だいたい、感じてなんぼ

あらがわず、しなやかに。

12月24日

昨日あたりから、熱海はあたたかい。温めた豆乳をゆっくり飲みながら窓のそばで日が沈むまで本を読んでいても心地よくて、風はもう春のような、ほのかに華やいだ香りがした。(それを察知した虫たちも土から出てきまくっていた。)いつまでもこんな日が続けばいいと思う。

 

先日東京を訪れて帰ってきてから4日間ほど尋常じゃないほどの謎の気だるさで寝込んだ。風邪というわけでもなく、熱もなくとにかく四六時中眠くて仕方なくて、後半は諦めてひたすらに泥のように寝まくり、今ではあとを引くこともなく頭はかなりスッキリとしている。

 

何事もなくてよかったものの、そんなこともあって日付ばかりが駒を進め、やっておきたかったことはどんどん先延ばしになってしまった。好きに執筆しているだけなのだけれど、なんだかんだ締め切りがないというのは死を意識しないのと一緒だなと、ふと思った。こんなんじゃ生命なんて燃え尽きることなく、鳴らすはずだった残り80億回ほどの鼓動を鳴り余して、ただただ無感動に燻って死んでしまう…、とか思いながら街を歩いていたら、見たこともないくらいの巨大なラフランスが1つ150えんで売っていたので、危機感から何かが芽生える前に嬉々として手に入れたそれを切って頬張り、とりあえずまだ保持し続けている病み上がりの身体(生命)に栄養をあげる。それで「私は今、大地をいただいている」とか思い始めると、樹木が実らせた渾身の果実に、「まじありがとう・・・♡」とか言っちゃって、ただ生きていることに喜びすら覚えてお腹をさすりながら機嫌よく寝転がる。

 

 

言葉の泉が詰まってるとか思うことがある。言葉が全然浮かんでこない。そういう時は、目に見えないうごめいているものをキャッチできないくらい頭が忙しいか、社会的でも公的でもない、超個人的な最優先事項を後回しにしている時か、無感動に慣れ浸って生きてる時だろうなと思う。胸を躍らせる何かを見つけることができないということは、もしやこの目も死んでいるのか?節穴か??とか心配になったりする。けれど、感動のような、心を躍らせる(激震させる)何かは意外とすぐそばに転がっていて、手を伸ばせば簡単に胸の揺らぎのスパイラルに投下され、キャッチーな心のうごめきが生まれる。それを好き勝手に、できればその歓びと共に言葉にして放つと、それがまたもっと遠くまで届いて、新しい揺らぎを、また私に巡らせてくれるような気がした。そう思うと、また言葉を紡ぎたくなる。言葉の泉は、表現の泉。そこから湧き出るものを私は言葉にしているけれど、あふれ出るその素晴らしいエネルギーをどう形作るのかは、全人類において全くの自由なのだ。

 

 

 

 

  

今日、プレゼントが届いた。クリスマスを一人で過ごすのは初めてかもしれないなと思いながら自炊していた時にそれは届いて、嬉しい反面、それは感じていなかったはずの孤独感を危うく確かなものとしてこの空間に鎮座させてしまいそうになった。

 

封を開けるとそれは、銀色夏生著『ひかりのいと 朗読のための自選詩集』という本で、文字数が少なく一気に読んでしまったのだけれど、実にいろんな気持ちになったし、思い出しもした。


 

物理的なものも、距離的なものも、きっと本質的(魂的なもの)には関係ないと思うようになったのは今年に入ってからの新感覚で、それが確かなものなのかどうかは別として、それを感じるたびに、とても嬉しくて、力強く今を生きさせてくれるような感覚になった。ただ、人間としての私には、この肉体がある限り、この束の間の分離感みたいなものとは、一生付き合っていかなくてはならないのだろうなとも思う。

 

強がれば脆くなり、期待すれば過剰に拗ねやすくなる。抱いている感情を否定すると自分の一部を喪失してしまったかのように思う。そして私にとって掛け替えのない人だということを素直に受け入れると、勝手に涙が流れる。本を読みながら、そんな感情の揺らぎがあった。きっと強くいたいと思うことは自然の摂理とは反するものなのかもしれない。ただ、それとは真逆に、「それでも私は変わる必要なんてない。」と思うと、身体の深いところから熱を帯びたものが広がっていくのを感じる。必要なのは、受け入れること。ただ、双方ともにそうさせておくだけで十分なのだと思う。

 

ただ、この本を読んで今まで新たな発見は、私はいま「確かにあるあたたかなもの」が欲しいと思っているんだなということ。
そしてそれは、まだ私の知り得ない何か崇高なものではなく、共に過ごした日々で芽生えた、既に自分の中に在るものだった。これを世に放ちたい、だなんてことを思った。欲しいというよりかは、より自分をそのあたたかなもので満たして、世界に溢れさせたいみたいな感覚なのかもしれないなとも思った。

 

 私があの空を見上げ

この道を歩き

あの人を思い

悲しみを忘れ

好きな気持ちも忘れ

ただ一つの

道を歩き

木と木の間を移動し

木の間の海をながめ

夕暮れをぼんやりと

ながめているうちに

すべてがすぎていった

 

ー『ひかりのいと』銀色夏生 引用ー

 

 


確かにあるあたたかなもの。
掛け替えのない素晴らしいものを自分の中に見つけさせてくれたことに、心から感謝を込めて。

 

 

 

 

 

プレゼントありがとう。
メリークリスマス。