だいたい、感じてなんぼ

あらがわず、しなやかに。

オーディオは、セックスと同じくらい気持ちよかったんだぜ。

 

 

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わたくし、ご縁があって、オーディオの仕事を数年間させていただいてました。 

 

  

いつの日か参加させていただいた、某オーディオ雑誌のイヤフォン聴き比べ企画が、今でも忘れられない。編集者がピックアップした今話題のイヤフォン80本を、それぞれどんな音するのか、それがどんな音楽と相性がいいのか聴きまくり、点数とコメントをひたすら付けるその企画は、まじで頭がおかしくなりそうだった。

時間も限られてるし曲の冒頭30秒くらいしか聴かないから、それを80回×ジャンル別3曲分やると、人間不思議と「小鳥のさえずり」とか「吹き抜ける風の音」とか「アスファルトがタイヤを削る音」でさえ、とてつもなく恋しくなる。

 

参加メンバーのオーディオ評論家さんの「このイヤフォン、なかなかよかったですよ。」という試聴中のレコメンドは、自分の感性を鈍らせかねないので、そのまま右から左。

「敵は自分自身のみ!」という気合と根性でベクトルを内側に向けていた。。

 

そんな音楽どうのこうのではなく、「音の質」の世界。

私が現役のときにこんなこと書いたら確実にやばかったんじゃないかって思うけど、今なら言える。なんであれだけオーディオやってたかっていうとね、

 オーディオは、セックスと同じくらい気持ち良かったんだよ。

 

えっ、まだ知らないんですか?あの快感を。

「えっ、音ってそんなに違うんですか?」と思った方に「えっ、音の聴き比べしたことないんですか?」と嫌がらせのようにそのまま質問で返したい。そして私がオーディオやってたのも、最初からその気持ち良さを知ってたからやり始めたんじゃない。別に音楽やってたわけじゃないし絶対音感もない。音楽聴くには付属のイヤフォンで十分で、始めた当初は音の違いなんてこれっぽっちもわからなかったんだ。ただ、わからないなりにオーディオやってるうちに「こりゃ、まじで耳やばたん」になっていった。

  

そもそも音質の違いは、聴き比べしないとあまりわからない。それは「聴き比べないとわからないくらい微細な違いしかない」ということではない。音質なんてこだわったことのなかった私から言わせていただくと「明らかな音の違いでさえ、聴き比べしないとわからないくらい、現代人は耳を使っていない。」というのが、正解。

 

 

■五感の中でも、最も等閑にされてる聴覚

ノイズやゲーム、劣化した音、表現力の乏しい音響機器に慣れてしまった耳は、生まれてこのかた、ほとんどが快感を覚える音質に触れていない。耳の快感を覚えてないのに「音楽めっちゃ聞くよ」とか「音楽フリーク」とか「NO MUSIC, NO LIFE!」とかって言っちゃってるあなたも、私から言わせれば、あなたのお耳はまだ初体験すらしていない、耳チェリー野郎です。

 

ではなぜ、数百万円のアンプが、なぜ一千万円以上のスピーカーが世にいくつも存在し、それを実際に買う人がいるのかがわかるかい。それは、なにものにも代え難いセックスに似たお耳の快感が、あの箱の中から溢れ出てくるから。

 

私も最初は、数百万のシステム使ってる人を見て、ヘッドフォン30個とか持ってる人見て「この人達まじでバカなんじゃないの」って思った。でもね、聴いてその価値を知っていくうちに不思議と「これで300万円?お手頃ですね。」ってなっていった。

 

あの箱から醸し出される聴覚を最高の快感に陥らせる音は、まさにセックスと同じくらい気持ちいい。金銭感覚を麻痺させるくらい、音の魅力は想像以上。

 

そして、その気持ちよさを知っている私は、だいぶ人生楽しんでしまったなって思う。

 

 

 

あなたはまだ音楽を「聴いてない」。

例えば、あなたは食に、香りに、いや、あなたの視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚を刺激するものたちをどれだけ知っていますか。「この店のこの味が!」「ここのブランドの香水が!」と、あなたが数多くの中からあなたの五感が震える「これが気持ちいい」を、きっと生まれた瞬間から今日に至るまでに養ってきたはず。

 

なのに「音楽大好きです!」って人はテンコ盛りでいるけど、「音質にもこだわってます!」って人にはなかなか出くわさない。それは「写真は大好きですけど画質はどうでもいいです!」って言ってるようなもの。味がすればいいとか、見えればいいとか、そうじゃない。人は、五感のセンサーが反応すると、気持ちよくて、心を揺さぶるから、「脳みそからなんか出てる!」みたいな”快楽”を感じるから、人はそれがやめられない。

 

それなのにあなたはまだ、「音が聞ければいい」という最低ラインで音楽を聞いている。大好きな音楽を今の環境で聴いて、その曲が、そのアーティストが好きな理由は、歌詞の内容かい?メロディの心地よさかい?ボーカルの声質かい?

 

音楽のセンスとか選曲の問題じゃないんだよ。それで音楽聴いてるつもりになってるなら、残念ながらあなたはまだ、ただの音楽好きの変態耳チェリー野郎です。

 

 

 

 

オーディオショップは敷居が高い?

そんなことない。むしろ買わなくていい。普段着でいいよ。買い物帰りにでも、耳の快楽を体験しておいで。音の感想もいらない。

 

美しいものを見たときの「きれい!」

美味いもん食べたときの「おいしい!」

いいニオイを嗅いだときの「いい香り!」

セックスしたときの「気持ちいい!」

 

そして、私が聴いたいい音の感想は「いい音!」ではなかった。

 

これもまたセックスと同様「気持ちいい!!」だったんだよ。

 

 

 

聴いた後に「気持ちいい音ですね」って言えれば大丈夫。聞いたあとにロクな感想も言えなくて「こいつ何も知らないんだな」って恥をかかすような空気出す店員なんていないし、そんなんプロじゃない。(でもマナーは守ってね)

 

 

「やっぱりライブが一番!」ってやつほど、オーディオ聴きに行くべし。

目の前で大好きなアーティストが歌ってくれるスペシャルな時間がライブやコンサートなら、オーディオはそのスペシャルな時間をいつどこにいても作り出すことができる魔法の箱。最強のオーディオシステムを前に思わず目を閉じて聴き入ってしまった経験がないなら、何度も言いますが、あなたはムッツリスケべの変態耳チェリー野郎です。

 

 

 

単純に、ただ体験しに行くだけでいい。手ぶらでOKだ。好きな曲があるなら持ち込みでもいい。クラシックなんて聴かなくていい。お店にもJPOPから映画のサントラまで良い音源がたくさん揃ってる。

なに聴いたっていいんだよ。私だってこの前300万円のシステムでずっと宇多田ヒカルとアナ雪(English ver.)を聴いていた。

 

体験するシステムを下調べする必要はない。大きめのオーディオショップで「ボーカルが最高にエロいの聴かせてください。」でオッケーだ。それが言えないなら「ボーカルがウェッティなやつ聴かせてください。」と言おう。「ギターがやばいやつ」でも「低音いい感じのやつ」でも「この曲がいい感じに聴きたい」でも「オーディオ屋のこれだけは聴いとけを聴かせて。」でもいい。

 

 

 趣味はなんのためにあるか、深く考えたことがある。それは自分を形成するためのものじゃない。それは自分のご機嫌取りのため、自分だけの「快」のためじゃないのかな。

良い音の体験は、向こう側から絶対に来てくれない。あなたが生き続けても、そこに足を運ばなければ、一生その快感を知らずに、お耳の快楽を未体験のまま、この世からドロップアウト

 

せっかく人間で生まれてきたのに、本当にそれでいいの?

もしかして、ムッツリスケベのド変態耳チェリー野郎のまま、逝くつもり?

ハードルは低い。ただ聴かせてもらうだけ。あなたの耳をくすぐる音は、いつでも用意されている。 

お耳のチェリーは、あなたがそこへ足を運ぶことだけで卒業できます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、感性には個人差があります。このご時世、表現だって自由です。聴いたところで私のセックスを値踏みするのは心外なのでやめてください。