だいたい、感じてなんぼ

人生、自分の感じたものがすべて。あらがわず、しなやかに。

『マリューは一体、だーれなの?』

※この作品を沖縄を案内してくれたマリューさんに贈ります。

 

 

僕はマリュー。今、僕は昨日あたまで突き破ったタマゴの殻の上にいる。

僕が殻をやぶってから、パパもママも、どうしてだかだーれもいなくて、僕はじぶんの姿もわからない。わかっていることは、ここは、時々おおきな鳥が飛んだり、動物たちが隠れたふかいふかい森の中だってこと。そして、ぼくには、少し鋭い爪や、口の横に長い2本のヒゲがあるってこと。
でも、結局それがなんなのかは、わからない。


だけど、「マリュー」って名前だけはあるんだ。タマゴから出るまでずーっとやさしい声で呼ばれていたからわかるんだ。

 


でも、僕はいったい何者なんだろう?なんのために生まれてきたの?
パパとママは、どこに行っちゃったんだろう・・・?

マリューはわからないことで頭の中は、ぐーるぐる。「?」でいっぱいになりました。 

 


すると森の中がざわめきはじめました。

 

 

ざわざわざわ…

 

 

一体なんだろう、誰かいるのかな。。なんだか、心細くなってきたなぁ・・・。

 

 

 

 

 


すると、草むらの中からヘビが現れました。


ヘビ「やいやい、何をしているんだ?」

 

マリュー「僕が一体、ナニモノなのかわからないんだ。」

 

へび「何をいう。おまえはヘビに決まってる。きっとそうだ!そうに決まってる。ほらみろ、ながーいカラダに、ウロコだってついている。」

 

マリュー「そうなのかなぁ・・・。」

 

へび「きっとそうだ、そうに決まってる。ほら、真似してみろよ。ガラガラガラ!」

 

へびはカラダをうねらせて舌を出し、尻尾を震わせました。
マリューもへびの真似してみました。それでもなんだか、その動きをしていると手と足が邪魔になりました。

 

マリュー「でも僕は、君のことは好きだけど、手も足もある。きっと僕はヘビじゃないんだよ。」


へび「バカなやつだな、へびになったら、大きな獲物もひとくちで食べることも、こーんな狭い道をスイスイ進むこともできるのに。今からでも遅くない、君もへびになるべきだよ。」


マリュー「うん・・・。」

 


マリューはヘビとお別れを告げて森を進みました。

 

 

 

 


しばらく進むと、今度は林の中から、シカがやってきました。

 

シカ「おいおい、何をしているんだ?」

 

マリュー「僕が一体ナニモノなのかわからないんだ。」

 

シカ「何をいう。おまえはシカに決まってる。きっとそうだ!そうに決まってる。ほらみろ、ぼくと同じ立派な角がついている。」

 

マリュー「そうなのかなぁ・・・。」

 

シカ「きっとそうだ、そうに決まってる。ほら、こうやって角と角をぶつけ合って・・・。」

 


ドーンッ!!

 


シカは、マリューの角に思いっきりぶつかって行きました。

 

マリュー「イテテテテ!僕は君のことが好きだけど、きっとシカじゃないよ。僕はこの角はだれかと戦うためのものじゃないんだ、きっと。」

 

シカ「バカなやつだな。シカになったら、この自慢の角で力勝負も、大きな草原を思いっきり走りきることもできるのに。君も今からでも遅くない、シカになるべきだよ。」

 


マリュー「うん…。」

 


マリューはシカとお別れを告げて森を進みました。

 

 

 


今度は、湖の中から、ワニがやってきました。

ワニ「ぐへへへ、何をしているんだ?」

 

マリュー「僕が一体ナニモノなのかわからないんだ。」

 

ワニ「何をいう。おまえはワニに決まってる。きっとそうだ!そうに決まってる。ほらみろ、オレと同じ大きな口に立派なキバが生えている。」

 

マリュー「そうなのかなぁ・・・。」

 

ワニ「きっとそうだ、そうに決まってる。ほら、こうやって大きく口を開けて待っているとだな・・・。」

 

ワニの口とも知らず、ちょうど羽を休めにきた鳥を、パクリ!

 

マリュー「うわぁー!なんてことを!僕は君のことが好きだけど、きっとワニじゃないよ。僕はこの大きな口は獲物を捕まえるためのものじゃないんだよ、きっと。」

 

ワニ「バカなやつだな。ワニになったら、この自慢のキバでどんな奴を仕留めることも、水の中でスイスイ泳ぐことことだってできるのに。君も今からでも遅くない、ワニになるべきだよ。」

 

マリュー「うん…。」

 


マリューはワニとお別れを告げて森を進みました。

 

 

 


たくさん森の中を歩き回ったら夜が更けて、今度は雨が降ってきてしまいました。
すっかりと疲れてしまったマシューは、こう思いました。

 

僕は一体、なんなんだろう?
蛇にも、シカにも、ワニにもなれない。そしてなにひとつ満足にすることもできない。
僕の持っているものは、もしかしたら何の役にも立たないのかもしれない。

僕は、それでも無理して誰かみたいにならなきゃいけないのかなぁ…?

 

 

マリューはやっと狭いたまごの中から出てきたのにもかかわらず、ココロもカラダもぎゅうにぎゅうの箱に詰め込まれてしまったような気持ちになりました。

 


どうして僕は、こんなに苦しいんだろう?

どうしてみんなは、僕のことわかってくれないの?

どうして誰も、僕がナニモノなのか教えてくれないの?

 

 

マリューはすっかり自信を無くしてしまいました。そしてココロをぎゅうぎゅうの箱の中に詰め込んで、長ーい身体をぎゅっと小さく寄せて木の下に隠れてしまいました。誰かに会ったら、きっとまた、ヘビやシカやワニとおなじことをいわれてしまうんじゃないかと、おどおどビクビクしていました。

 

もう誰にも会いたくないなぁ・・・。

 

 

 

 


すると、どこからか声が聞こえてきました。


(おもいだして・・・)

 

 

見渡す限り、だーれもいない。森の向こうにもなーんにも聞こえない。

 


マリュー「・・・だぁれ?」

 

(おもいだして・・・)

 

 

その声に耳を澄ますと、それはマリューのココロの中から聞こえてくるようでした。マリューはココロをしまっていたぎゅうにぎゅうの箱を開いて、そのじぶんのココロを見つめました。

 

 

すると、ココロはマリューに話しはじめました。

「やっとこちらに気付いてくれたね。キミが目を向けてくれるのをずっとずーっと待っていたよ。」

 

マリュー「君は・・・?」

 

「僕はココロ。キミ自身だ。僕はキミのすべてを知っている。そして、キミの望みをすべて叶えていたのも、僕だよ。」

 

 

マリュー「の、望みを叶えるだって・・・?僕はヘビやシカやワニみたいに、本当のことを教えてくれない動物に会いたいと願ったことはないし、こんな寂しい思いをしたいだなんて一度も望んだことなんてない!僕はただ、じぶんがナニモノなのか知りたかっただけなんだ。なのに・・・。」

 

ココロは言いました。

「何を言うんだい、願いは着々と叶っているよ。

 

もし君が、すぐに自分が本当は何者なのかを教えてくれる動物が現れたら、君はそれを素直に信じることができたかい?おそらく、どんな動物が現れても、君はまだそれを素直に受け入れる準備ができていなかったんじゃないかな?

 

現に、君の目の前に現れた動物たちも君が何者なのかというのは彼らの中でのいちばん最高の答えを教えてくれたじゃないか。そして、君はそれを素直に受け入れて、彼らのいう通りに生きることだってできたはずだろ?」

 

マリュー「そ、そうだけど・・・。」

 

ココロ「それでも君は信じなかった。それはどこか違和感があったからだね?どこに違和感を感じたんだい?」

 

マリュー「うーん、ココロ・・・?」

 

ココロ「そうだ。僕はね、僕(ココロ)の存在や真実に気付いてもらうために、いつも真逆のことを起こしたり、キミにサインを送るんだ。そうすればイヤでも気付くはずだからね。でも君は、僕に気づいて向き合うどころか、僕(ココロ)をぎゅうぎゅうの箱に詰め込んでしまうだなんて…。」

 

マリュー「うん、そうだね。ごめんよ。でも、最初から今日みたいに、話しかけて教えてくれたらよかったのに!」

 

 

ココロ「うん、確かにそうだ。でも、闇がないと光は見えない。昼間に星は見えないだろう?真逆はとってもやさしい魔法なんだよ。

 

とにかく、君はもう僕(ココロ)の存在に気がついたんだ!君のココロにあるものだけが、この世の真実なんだよ!さぁ、僕の中をしっかりと覗いてみてごらん!」

 

 

マリューは静かになったココロの中をじーっと見つめました。

たくさんのキモチ、たくさんの思い出。そして、たくさんの出会い。

 

 

そして、マリューはついに、その深い深いところにある、ひかりを見つけました。

 

 そのひかりはマリューの中でパァァっと広がって、そのひかりはみるみるうちにマリューを包み込み、マリューは次々と大事なことを思い出したのです。

 

 

ひかりが溢れているマリューは、まず自分が空を飛べることを思い出しました。

空を思うままに舞って、広い空をのびのびと飛び回りました。上がったり下がったり、森を出て、いろんな風景を見ることができました。そして、マリューはココロが導くままにみなぎるエネルギーを自由に巡らせることが簡単にできました。それはまるで風のようで、何かを運んだり、そして、だれかに寄り添うこともできました。

 

マリュー「あぁ・・・!僕が知りたいことは、全部ぜーんぶ、ここにあったんだね!」


マリューはとてもうれしそうで、こわばっていたカラダも解れ、マリューのエネルギーはどんどん溢れていきました。ぐるぐるぐるぐる、そのエネルギーは目に見えない風となって大きく大きく巡り、マリューは必要な人に必要なだけのいろいろな「風」を運びました。彼らの最高の答えを教えてくれた、ヘビやシカやワニたちにも・・・。

 

そして誰かの喜びが増えるたびに、それはマリューに大きくなって返ってきました。マリューはとっても嬉しくなりました。


そうやって行くうちに、マリューは空の向こうにじぶんと同じようにしている者たちを見つけました。

 

 

マリュー!」

 

 

それはたまごの中で聞いていたマリューのだいだいだーいすきな、パパとママの声でした。

 

 

マリュー「パパ、ママ!!やっと会えた・・・!!」

 

 

 

 

マリューは自分が何者かを思い出し、自分の本当の場所に戻ることができましたとさ。

 

 

 

 

 

 


僕はマリュー
エネルギーを巡らせる、遣いの者。

 

 

 

 

 

《キーワード》
窮屈さ、答え、抵抗、劣等感

寄り添う、和らげる、緩む、巡らせる、柔らかさ、ピンク、水色。